季節の移り変わりを細やかに表現した日本の文化。
立春、夏至、秋分、立冬などの二十四節気は有名ですが、さらに細かく表現した七十二候となると日常で耳にする機会は稀。
その七十二候の一候を店名にしたお店が、2023年4月15日宇都宮市大谷町にオープン。
お店の名前は「のんびり時間工房 キジハジメテナク」。カタカナの羅列で初めて見たとき、言葉が頭に入ってきませんでした。

「雉始雊(キジ ハジメテ ナク)」。1月16日~19日あたりの季節を示し、求愛のためオスのキジが「ケーン、ケーン」と鳴き始めることから付いた言葉。懸命にアピールするのに素っ気ない態度をしめすメスの様子から「けんもほろろ」という慣用句が生まれ、現在でも使われています。
日本鳥学会が国鳥として選定した「キジ」。
童謡の桃太郎にもサル、イヌとともに登場。万葉集など多くの俳句や和歌に詠まれ、日本人には馴染みが深い鳥です。
大谷町の新しい観光コンテンツとして開業した「キジ ハジメテ ナク」。ナビに住所を登録しお店へGO!!
大谷街道から宇都宮市立城山東小学校方面に続く瓦作街道へ右折。

城山東小学校を過ぎ、通り沿いに真新しい看板が。
しかし周囲を見渡してもお店を発見できず。

看板に矢印が書かれており、細い路地に入っていけとの指示らしい。
本当に奥に進んで良いものか迷いながら慎重に車を進めると・・・。突き当りに看板発見。

路地裏というと、心配事は駐車場の存在。
心配不要、パッと視界が広がり二十台近く停められそうな駐車場が。

周囲は手つかずの自然が残され、遠くに旅した気分。
今にもキジの鳴き声が聞こえてきそう~。

快晴に恵まれ、最高のカフェ日和。
初夏を思わせる暖かな風が暖簾をはためかせている。

暖簾をくぐり最初に目に飛び込んできたのは、大谷石の石蔵の脇に新設されたテラス席。
この日はテラス席を利用されるお客さんが大勢。緑の空気に包まれてのカフェタイム、楽しそう!!

落ち着いてお茶を楽しめるテーブル席。

大谷町の自然を眺めながら寛げるカウンター席も用意されています。

最初に店内で注文、会計を済ませるスタイル。
早速蔵の中に入って注文しましょう。
開店祝いの生花で華やかな玄関口。
うっすら暗い蔵の中に入ると、不思議に心が落ち着いてくる。

「すいとん」「焼きおむすび」のフード系、「モンブラン」「アフォガード」のスイーツ系、ドリンク系は日本茶、抹茶など。
フードとドリンクがともに楽しめるセットメニューがあり、「すいとんセット」1320円をチョイス。
+550円で「ミニモンブラン」を追加(すべて税込)し、会計完了。

石蔵の二階席を利用させて貰いました。

天井を見上げると、梁に建てられた日付が書かれている。
「昭和2年3月27日」。西暦に換算すると1927年、96年前の日付。
まもなく築100年を迎えようとしている大谷石の石蔵。
耐震補強が施され窓も現在の技術でリニューアル。
でもひとつひとつ詰み重ねられた大谷石は手彫りのようで、一つとして同じ形状のものはなし。

ぬくもりある大谷石に囲まれ、心が癒やされていくのを感じながら・・・
のどかな風景を眺めながら、のんびりとしたひとときを過ごさせて貰いましょう。

しばらくして、「すいとん」がお膳に乗って。

すいとんを頂くのはいつ以来だろう・・・。

かつお節、昆布のお出汁。
具だくさんで心も温まります。

父や母は戦時中のことを思い出すと「すいとん」を好んで食べませんでしたが・・・。
私は大好物。たまに食卓に登場すると大喜びだったのを思い出しました。

玉子焼きと小鉢付き。

ドリンクは「温かい 抹茶ラテ」
苦味がなく、優しい甘みが心地良い。

「ミニモンブラン」
サクサク食感のメレンゲにしっとりクリーム。
繊細な口溶けと自然な甘みで美味しくいただきました。

何気なく外を眺めていたら・・・。
野生のオスのキジが草むらから出現。ゆっくりお店の前を歩いて横断。
あまりの光景に、店内にいたお客さんたちと「奇跡」を共有。歓喜の声が沸き立ちました。

帰り際にお店の方にキジ出現の話をしたところ、「メスのキジはよく見かけるけど、オスは珍しい」とのこと。キジも開店を喜び、姿を表したのでしょうね。
宇都宮市内にいるとは思えない、のどかな光景を眺めながらのカフェタイム。
大谷を愉しむ素敵なお店が誕生しました。
○「キジ ハジメテ ナク」住所:宇都宮市大谷町798-34
電話番号:028-612-2023
定休日:月曜日、火曜日(不定休もあり、詳細は公式SNSを参照ください)
営業時間:11時~16時30分(L.O15時30分)
公式インスタグラム
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