東日本大震災の影響で二年あまり休館していた「大谷資料館」。
2013年4月2日に再開したという報道をみて、嬉しくなった想い出が蘇ってきました。

東京から宇都宮に所用で来られたTさん。
お忙しい中、14時30分からの一時間半私にお付き合い頂けることになりました。
どのように過ごしたら喜んで頂けるか・・・。
一時間半という限られた時間。栃木といえば日光や那須、益子等々名所はありますが、時間的に無理。
その時以前Tさんが語ってくれた幼少時代の話を思い出しました。
和歌山県で生まれ育ったTさん。
近所のお金持ちの家には必ずと言ってイイほど、大谷石の塀や蔵があったとのこと。
強い憧れと共に、重厚でいて温かみある大谷石はどこで採掘しているのかと強い興味を覚えたのだそうです。
当時関西地方では、大谷石は高価な建築材料。
帝国ホテルで使われたりと全国的にも高く評価されていました。
そうだ!!大谷石の採掘場跡にお連れしよう~。
市内からも二~三十分ほど。Tさん憧れの大谷石のふるさとにレッツゴー!!

久々に訪れた「大谷資料館」は、以前と比べ感性に訴えかける演出が随所に施されていました。
週一回あった休館日が年中無休に。広々とした空間にBGMが流れ、ライトアップもされている・・・。
これは地元の石材業を営んでいる方にオーナーが変わったことが大きく起因しているのかもしれません。
大人700円(小・中学生350円)の入館料を支払い館内に。
資料館の脇から坑内に入っていきましょう。

地下30メートル、2万平方メートルの地下空間。
見る人を圧倒させます。

柔らかく重厚な大谷石が色鮮やかなライトに照らされ、ひとつの巨大モニュメントに見えてきます。
地下空間に心地良く響き渡る音楽が、さらに幻想的な気持ちにさせてくれます。

大谷の人々が作り上げた、まさに芸術作品!!
当時採掘に従事していた方々の汗が、後生の人々に感動を与えている・・・。

この空間で撮影された映画やドラマ、プロモーションビデオがズラッと写真と共に紹介されていました。
これも以前は無かった嬉しい企画。
最近では映画「るろうに剣心」での大規模なロケが印象に残っています。

2015年2月28日まで、特別企画として普段非公開の教会ゾーンが公開されています。
それも美しくライトアップされて・・・。

この場所で映画撮影が予定されているようで、特別企画の終了時期はスケジュールによって前後するようです。
「あっ!あそこで撮影したんだ!!」と、完成した映画を見ながら語り合うのも楽しいですよ。

私の亡き父は生前、この大谷石の採掘場での出来事を良く語って聞かせてくれました。
終戦間近の昭和20年、学徒動員で高根沢から自転車で毎日通ったのだそうです。
当時この地下空間は、中島飛行機の地下軍事工場になっていました。
アメリカの偵察機に発見されないよう、暗いうちに坑内に入り、日が暮れてから出て家路に向かったそうです。
二階建ての工場、隧道が掘られそこを多くの人が忙しく動き回っていたそうです。
暗く寒いこの場所で迎えた15の春。志願兵として秋には戦地に行くことになっていたと・・・。

様々な想いが、この採掘場跡に詰まっているのですね。
大谷資料館の隣にある「大谷ミュージアム」で、大谷石で作られた小物をお土産として持ち帰って頂こう。

震災による液状化で被災したTさんのご自宅。
建て替えたご自宅には、一部に憧れの大谷石を貼ったとのこと。
温かい珈琲を飲みながら、Tさんのお話しに耳を傾けていました。

東京での会合に出席するため帰られるというTさん。
「東京のどちらで会合があるのですか?」というお聞きすると「帝国ホテル」というお答え。
今年で50周年を迎える
明治村。
ここにアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテル中央玄関部が展示されています。
建物内外は、彫刻された大谷石がふんだんに使われていることで有名です。
なんというご縁!!
「大谷ミュージアム」内にも、旧帝国ホテルの透かしテラコッタや壁面装飾が展示されていました。
○「大谷資料館」住所:宇都宮市大谷町909
電話番号:028-652-1232
定休日:年中無休(但し12月29日~1月2日は閉館、臨時休館あり)
営業時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
公式HP
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